労働問題

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労働者を守るために労働基準法などの多くの法令があり、また、昨今は働き方改革が叫ばれていますが、現実には、違法な職場慣行が根強く残っているところもあります。

労働問題は感情的な対立を引き起こしやすく、精神的・肉体的にも大きなダメージを受けてしまうものです。
しかし、一度諦めてしまうと既成事実ができてしまい、結果として一生泣き寝入りとなってしまうことにもなりかねません。

残業代を支払ってもらえない、突然解雇を言い渡された、セクハラ・パワハラを受けた、仕事中にけがをしたのに会社が労災扱いしてくれないといったトラブルが起こった場合は、早めにご相談ください。
問題の内容やご希望を踏まえて、交渉、労働審判、裁判等様々な手段の中から適切な方法を選択し、解決してまいります。

普通解雇(勤務成績・勤務態度の不良等を理由とするもの)

労働契約法16条は、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当」と認められない限り無効だと述べ、労働者の生活をおびやかす解雇を厳しく制限しています(「解雇権濫用法理」といいます。)

この「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」という要件について具体的にどのような場合を言うのかといいますと、裁判例が「合理的理由がある」とするケースは、勤務成績の著しい不良、経歴詐称が発覚し信頼関係が失われた、業務命令違反、不正行為などです。(経営不振による整理解雇については、後で述べます。)

そして裁判例は、「合理的理由がある」と言える場合でも、その理由が重大で、労働者側に宥恕すべき事情がほとんどないような場合でなければ「社会通念上相当」とは認めないとしています。

裁判所は、労働者が受ける不利益の大きさを考慮して、解雇を簡単には認めません。

ここで気を付けていただかなければならないのは、裁判所が解雇を認めないであろうケースにおいて、労働者に対して退職勧奨を行って、自主退社という体裁で、実質的に解雇しようとする使用者が存在することです。

会社を辞めることに同意する内容の書面には、退職届や同意書等書面のタイトルには関係なく、決してその場の雰囲気で署名押印をしてはいけません。

その他、法令は、例えば、産前産後の女性が労働基準法65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は解雇してはならない等、特別の事由による解雇の禁止も定めています。

整理解雇(会社の経営不振を理由とするもの)

整理解雇とは、企業が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇のことです。

会社の経営不振という致し方ない事情による解雇であるため、裁判例は、通常解雇よりは、その有効性を少し緩やかに認ています。
ただし、以下の4つの要件をみたす必要があるとしています。

  1. 人員削減の必要性不況や経営不振に対応するために企業運営上の十分な必要性があること)
  2. 解雇回避努力配転や出向、希望退職募集といった他の手段も試み、解雇回避のための真摯かつ合理的な努力がなされたこと)
  3. 被解雇者選定の妥当性(被解雇者の選定が、勤務成績や勤続年数、企業貢献度等の客観的で合理的な基準により、公平に行われたこと
  4. 解雇手続の妥当性労働組合または労働者に対して整理解雇の必要性とその時期・規模・方法について十分説明や協議を行ったこと)

個々のケースにおいて、裁判所から見て整理解雇が許されるケースといえるかは、非常に専門的な判断になりますので、一度ご相談ください。

残業代

1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える労働を時間外労働といい、労使が事業場協定(いわゆる三六協定)を締結し労基署に届け出ている場合に限り許されます。

時間外労働をした場合は割増賃金が支払われなければなりません。

割増率は以下の通りです。

  • 就業規則に定められているより長いが、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えなかった場合・・1倍(割増なし)
  • 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働を超えた場合・・1.25倍
  • 法定休日労働(週に1日の休みをもらえず、かつ4週に4日の休みをもらえず働いた場合)・・1.35倍
  • 深夜労働(午後10時~午前5時)・・1.25倍
  • 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える+深夜労働(午後10時~午前5時)・・1.5倍
  • 休日労働(週に1日の休みをもらえず、かつ4週に4日の休みをもらえず働いた場合)+深夜労働(午後10時~午前5時)・・1.6倍

労働審判とは

労働問題を解決するための手段として、示談交渉、訴訟という方法があるのは、他の類型の事件と同じですが、労働問題の場合には、「労働審判」という特殊な手続きが用意されています。

労働審判は、裁判所において、裁判官1名と労働審判員2名(労使から1名ずつ)で構成される合議体の下で、3回以内の期日で紛争の解決を目指す手続きです。

合意できれば調停による解決ができますし、できない場合は審判が行われます。

審判には異議を申し立てることができ、申し立てると訴訟に移行します。

期日が最大3回あるといっても、実際は第1回期日でその後の方向性がほぼ固まることが多いので、第1回期日とその日までの準備が非常に重要です。

労働審判のメリットは、訴訟と比べて圧倒的に短期間で手続きが進むこと、デメリットは、相手が審判に納得せず異議申し立てをした場合に訴訟移行するため、結局ふたつ手続きをするはめになって余計時間がかかるケースがあることです。

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